はじめまして。
メディア「100人で子育てをすることにしました。」にお越しいただき、ありがとうございます。
この場所は、
「弧育て」から外へひらかれた「公育て」へ、そして人との温かな交わりのなかで子どもたちを育んでいく「交育て」へ
をテーマに、偶然出会えた誰かと手を取りあいながら、子育ての日々を紡ぎなおすことを目的としたメディアです。
最初の記事では、わたしがこのメディアをはじめようと思った経緯や、背景にある想いなどについて書こうと思います。
このメディアをはじめるまでの経緯
「この場所について」でも書きましたが、わたしは過去に夫の単身赴任をきっかけに、ひとりで子育てをしていた時期があります。
当時、子どもたちはまだ3歳と0歳で、もっとも手のかかる時期でした。部屋はひたすら荒れていくし、長男はイヤイヤ期まっさかりだし、次男はつねにおんぶや抱っこをしていないと泣いてしまう。子育てと家事のダブルパンチだけでもKO寸前なのに、遠くには蜃気楼のように仕事の原稿の締め切りが……。
「このままじゃ、母子3人で共倒れしてしまう……」
そんなことを思っているうち、情けないことに本当にダウンしてしまい、冷水を浴びたように我に返りました。そこから心を入れ替え、生活を抜本的に見直していきました。
まずは家事を見直し、不要な家事は思いきって「ヤメ家事」しました。また部屋が荒れないようにできるだけ環境を調整しました。思いきって断捨離もしました。それでほんのいくらかは改善しましたが、やっぱり日々の負担は減りません。むしろ、子どもたちの成長にあわせてあらたな問題は山積していくばかり……。
そしてなにより、自分たちがまるで社会から忘れ去られてしまったかのような、言い知れぬ孤独感が心をむしばんでいきました。体力面もしんどかったのですが、何よりつらかったのは精神面でした。
そこで腹をくくり、少しずつ人に頼ることをはじめてみました。家事の負担を減らすべく、家事代行サービスを利用したり、食事のつくりおきサービスを試したり。ネットスーパーや八百屋さんのお惣菜にもお世話になりました。
また親子で社会から孤立しないよう、できるだけ人と関わるようにしました。児童館や地元の遊び場に頻繁に行ったり、町内のイベントに積極的に参加したり、親子で旅に出たり。幼稚園の保護者さんたちや地域の見守りボランティアさんにもずいぶんお世話になりました。
そうしてこれまでお世話になってきた方々を思い浮かべながら、ある日ふと指折り数えてみたところ、なんとその数が100人を超えていることに気づいたのです。その道のりを振り返り、感謝と備忘録をかねて書き残したのがこちらのnote記事です。
この記事に対し、多くの反響をいただきました。そしてこれをきっかけに、他の場所でも「100人での子育て」をテーマに文章を書くようになりました。
そんななかで、ひとつ知ったことがあります。それは、今まさに孤独を感じながら子育てをしている人や、過去にそうした経験を持つ人が、想像以上にたくさんいるということです。
もちろん、「孤育て」や「ワンオペ育児」といった言葉はよく聞かれるし、自分のまわりでもそれらに苦しむ人たちをたくさん見てきました。しかしいざこうしたテーマで書くようになってから、想像以上にたくさんの声に触れ、「これは思ったよりも普遍的な問題なんじゃないか」「わたし個人にできることは何だろう」と考えるようになりました。
もちろんこれはすぐに変わる問題ではないし、わたし自身もまだ模索中の身です。そんな自分でも、今すぐに始められることはないだろうか。そう考えたとき、まずはわたし自身の経験を話しはじめ、対話の席に着くことが大切だと思いました。
そしてそれにより、今まさに奮闘している誰かと一時でも心を通い合わせられたら。または、孤独を抱える人同士が偶然手を取り合い、ともに子育ての日々を紡ぎなおすようなきっかけが生まれたらーー。僭越ですが、そんな願いを胸にこのメディアをつくりました。
「100人で子育て」なんて言うと、びっくりしてしまったり、むしろプレッシャーに感じてしまう方もいるかもしれません。その心配は、今でも胸にあります。
それでもやっぱり書こうと思う理由は、今さまざまな孤独を抱えながら子育てをする人に、たとえわずかでもその孤独を手放してほしいと思うからです。
ひとりで子育てをはじめた当初、自分は独りぼっちだと感じることが多くありました。でもひとりふたりと出会いを重ねながら子育てをしていくなかで、そうした思いは徐々に薄れていきました。
もちろん、100人もの方々にいつもガッチリとサポートをしていただいていたわけではありません。むしろ大半の方々は、ふだん道ですれ違って挨拶をする程度の「ゆるい」関係です。
でもそんな「ゆるい」関係こそ、子育てにおいてはとても大切な存在です。いわば「なまあたたかい」「生ぬるい」くらいの関係をたくさん作ることが、長い子育てにおいては生きてくると感じています。
これからここで綴っていく内容は、私が人々とそんな「なまあたたかい」関係を築きながら子育てをしてきた日々の記録です。
ゆるく、生温かく、お付き合いいただけると幸いです。
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