こんにちは。
このウェブメディアをはじめる以前、いくつかの場所で「弧育て」や「100人での子育て」などをテーマに文章を書いていました。
それらを読んでくださった方から、いろいろなコメントや情報提供をいただくなかで、ふと思ったことがあります。
それは、
子育てって、もっと「バブリー」でもいいのかも?
ということです。
子育てはきっと、もっと「バブリー」でいい
きっかけは、私が書いた記事を読んでくださった方からのある情報提供でした。
教えていただいたのは、コロナ禍のニュージーランドで、当時のアーダーン首相が国民に対し呼びかけたある印象的な言葉でした。
“Stay in your bubble.”(あなたの「バブル」の中にいてください)
バブル(bubble)とは、ご存じのとおり「泡」を指す単語です。でもここでは泡ではなく、コミュニティやグループといった意味合いで使われています。
なぜアーダーン元首相はファミリー(家族)ではなく、あえて「バブルの中にいてください」という表現を使ったのでしょうか。そこには、ニュージーランドにおける多様な住環境や、家族関係への配慮があります。
たとえば留学生が多いニュージーランドでは、他人同士でルームシェアをしていたり、寮生活を送っていたり、一般家庭にホームステイしている人たちがたくさんいます。また入籍ではなく事実婚を選ぶカップルも多く、家族のあり方がとても多様です。
そうした多様なつながりに配慮し、ファミリーではなくあえてバブルという表現を使ったという事かと思います。
このエピソードを聞いて、とても絶妙な表現だと思いました。同時に、これからの家族のあり方に対しても大きな示唆があるように感じました。
BBCの定義によれば、ここでの「バブル」とは、法律や血縁にかかわらず、生活のなかで接触の多い人々を指すそうです。つまり、実際にいま人生を共にしている人たちが、自分にとってのバブルです。それが家族(世帯)という人もいるかもしれないし、職場や学校かもしれないし、ご近所や趣味のつながりという人もいるかもしれない。
実際にコロナ禍のイギリスでは、大学で特定の先生と生徒達が「バブル」を形成し、そのなかで第三者との接触を避けながら学び続けた例があるそうです(これも、記事を読んでくださった方からの情報提供で知りました。ありがとうございました)。
気づけばわたしもバブリーだった
そこで思うことがあります。
実はわたしもすでに結構「バブリー」なのかも?
ということです。
上の定義をあてはめれば、家族はもちろん、ご近所や職場の方々、広くはオンラインのつながりまで、ある種のバブルと捉えられるかもしれません。そう考えると、私自身もすでにいくつもの「バブル」を持っていることに気づいたのです。
狩猟採集社会のころから、人々は互いに関わりあって子育てをしてきたことがわかっています。現代でも、伝統的な社会に生きる人々のあいだでは、夫婦だけでなく親戚や友人、隣近所などが助けあいながら子育てをする姿があります。たとえばアフリカのエフェ族では、生後4ヶ月の赤ちゃんの子育てになんと14人もの人々が関わっていたという調査記録があります。
おそらく、人々は太古の昔からバブルとともに子育てをしてきたのでしょう。核家族化が進み、忘れられつつあることですが、「バブリー」な子育てこそ人間本来の子育てのあり方なのかもしれないと感じました。
わたし自身の子育てを振り返ると、夫が単身赴任でいなくなるまで、ずいぶん内にこもった子育てをしてきました。長男を産んで以来、夫婦で負担を分けあいながら何とかやりくりしてきましたが、夫がいなくなった途端に多くのことが立ち行かなくなりました。そこからもがきつつ、最終的に100人で子育てをするようになりましたが、それまではずっとどこか心に孤独を感じていました。当時は体も大変だったけれど、なによりしんどかったのは心の孤独だったと思います。
昨今、子どもに関する悲しいニュースが後を絶ちません。ちょうど「バブル」の新しい定義について教えていただいたころ、2歳の女の子が母親に刺されたという衝撃的なニュースがYahooのヘッドラインに飛び込んできました。その母親は家族との関係に悩み、孤独を感じていたそうです。孤独というのはとても恐ろしく、悲しいものだと思います。
そんなこともあり、
みんなもっとバブリーに子育てをしようよ!
バブリーな子育てを取り戻そうよ!
と言いたい気持ちになり、筆をとりました。
ちなみに「バブル」は子育て世代だけでなく、単身の方や高齢者、LGBTの方々など、さまざまな人にやさしい概念のような気もしています。法律や血縁にかかわらず、自分の意志で家族を作ったり広げたりすることができる世の中になれば、あらゆる人々がもっと生きやすい世の中になるのではないでしょうか。
だからこそ、
「みんなもっとバブリーに生きよう!」
そんな思いを、これから少しずつこの場所で発信できたらと思います。
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