少しずついろんな人に頼ってみることで、地域のさまざまな人や場所との接点が増えていきました。最初は「家事や育児の大変さを少しでも軽減できれば」と思ってはじめたのですが、実際にやっていくなかで、もっと大きな意味があることに気づきました。
それは、いろんな人と関わり合いながら暮らしていると、純粋ににぎやかで楽しいということです。
毎日道ばたでいろんな人に出会って立ち話をする。毎日いろんな人が入れかわり立ちかわり家を訪ねてくる。毎日いろんな人が子どもたちと遊んでくれる。週末には親子でいろんな場所に遊びにいく。そうすると、寂しくなくなる。孤立しない。
近所のプレイパークで泥んこになって遊んでもらう息子(写真左)
この「孤立しない」って、親子の生活においてすごく大事なことだよね。
そんなことに気づきました。
そこからは、いかに孤立せず子育てをしていくかが自分のなかでひとつのテーマになりました。
今日は、ひとりで子育てをしていた当時、孤立を防ぐためにやったことをいくつかご紹介します。
半径5メートルのつながりをあたためる:自宅マンション編
自宅で遊んでもらっている長男
まずやったことは、自分たちにとってとくに身近な場所(=半径5メートル以内の場所)をあたためるということです。当時、私たち親子にとって一番身近な場所といえば、まず自分たちが住むマンション。そしてご近所。この2つの場所を大切にしようと思いました。
まずは自宅マンション。もとからアットホームな雰囲気があり、住人の皆さんとの関係も良好でした。でもあいさつ以上にもう一声かけてみたり、一つひとつの立ち話を大切にしたりといったことから始めました。
とくに管理人さんには、夫の単身赴任のため一人で子育てをすることになった状況を共有しておきました。するとこれまで以上に気にかけていただき、子どもたちにもとても良くしていただきました。我がマンションの管理人さんは子どもたちに「おしりペンペン」を見せるのが得意技(?)なのですが、そんな何気ない日常風景にもなんか心が和んだものです。
あと別の階に、ひとりで3人の小さいお子さんを育てておられるワーママさんがいました。彼女とも、顔を合わせるたびにお互い生存確認をしていました。
ほかにも、以前から交流のある上階の奥様や、2匹のワンちゃんと一緒に暮らされているおばあちゃんなど。具体的に何かをして頂いたわけではないけれど、ただひとこと言葉を交わせる存在が身近にたくさんいることにずいぶん救われたものです。
半径5メートルのつながりをあたためる:ご近所編
幼稚園の夏祭りにて
あとは、同じ町内に住むご近所さん。とくに隣のクリーニング屋さんのおじさんには、通りかかるたびに「行き先報告」と「帰宅報告」をしていました(別に求められていませんでしたが)。ひとりで子育てをしていても、「行ってきます」「帰りました」を言える存在がいることがどれほど貴重だったことか。公衆トイレのお掃除のおじさんにも、毎朝のご挨拶がてら生存確認をしてもらっていました。ほんの数往復の会話だけど、生きてる、ひとりじゃない、と思えた瞬間でした。
ほかにも地域の公園や児童館に行ったり、あえて地域のお店でお買い物をしたり。そんなことを積み重ねていくうちに、いつしか地域に「ゆるくて薄い」顔見知りがたくさんできていきました。この「ゆるくて薄い」関係性をたくさん持つことが、子育てにおいては最強の味方になるということを後々の生活で実感していくことになります。
地域のイベントにもよく参加していました。町内会の縁日や児童館のイベント、幼稚園の夏祭り。月に一回の子ども食堂に、地域のママさん同士の有志イベント。一度行くと知り合いが広がるし、地域の様子もよくわかるようになります。なにより賑やかで楽しいので、親子の気晴らしにもなっていました。
息子の幼稚園と連携する
長男の幼稚園の節分祭りにて
もうひとつ、忘れてはならない我が家の「半径5メートル」がありました。それは長男が通う幼稚園です。担任の先生をはじめとする先生方、そして保護者の皆さんなど。本当にお世話になりました。
我が家では入園時点ですでに夫が海外だったので、園長先生と担任の先生には「夫が海外におり、実質的な母子家庭である」ことをお伝えしていました。当時、長男は少し食欲がない時があったり、チックのような症状が出たりすることもあったので、それらもすべて事前に共有しておきました。そうすることで、担任の先生から細かく様子を教えていただけるようになり、幼稚園にいる間も細かくフォローをしていただけている様子でした。
同じ学年の保護者さんにも、我が家の状況を完全にオープンに話していました。さりげなく気にかけてくださったり、公園に誘っていただいたり、何気ない気遣いが本当にありがたかったものです。
こんなふうに、自分たちの半径5メートルの関係性を温めていくにつれて、一人だけど一人じゃないというか、親子で外の世界とつながっているような感じが出てきました。
そうすると、今度はその外の世界というものがおぼろげに見えてきました。そして、親子で孤立しないためにも、このつながりをさらに広げていきたいという思いが出てきました。
つぎの記事では、そんなところをお話していきたいと思います。
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